新型コロナウィルス(新データ):悪い業務プロセスの従業員への影響
Bruce Orcutt
1月21日, 2021
新型コロナウィルスが職場に与える影響については、多くのことを耳にしました。在宅勤務への移行、健康と安全を心配する従業員への感情的な犠牲、学齢期の子供たちの遠隔教育のやりくりなどです。 そして、新しい日常のルーチンに落ち着くと、職場で別の課題が明らかになりました。それは「悪い業務プロセス」です。
主に、金融サービス、保険、運輸、小売などの顧客から送信または対応された情報に大きく依存している業界で働いている場合には、既にそれを経験したことがあるかもしれません。 新型コロナウィルス感染拡大が原因で最初に中断したのは、手動の紙ベースの非常に複雑な業務プロセスでした。 銀行での顧客の新規口座開設申込、国、自治体からの助成金、支援ローンへの申込、保険会社での請求管理、小売顧客からの問い合わせ、保証請求の処理–これらの重要な日常業務は大幅に遅延し、従業員と顧客双方にとって不満がたまる形となりました。
職場におけるテクノロジー、自動化、ビジネスプロセスの実際の影響を発見するために、ABBYYは2020年11月にOpinium Researchに委託し、IT、コンピューティング、教育、ヘルスケア、政府、保険、製造、および運輸など20を超える業界の米国、英国、フランス、ドイツの4,000人の労働者を調査しました。経営幹部の視点やアナリストの推奨事項を使用しての調査は世の中に既に数多くありますが、私たちは「日常の労働者が何を経験したか」を知りたいと思いました。
私たちが発見したことのうち、まったく驚くべきことではないものもありました。 回答者の74%は、現在の世界的新型コロナウィルス感染拡大の間に職場で課題を経験したと述べています。 最大の課題の原因を特定すると、労働者の40%はソリューションやタスクに関する情報が不足していると非難し、32%は適切なITツールがないと非難し、そして27%は孤立していると非難しました。
驚いたのは、職場の課題に対するもう1つの主要な要因がプロセスであったことです。 効率性、コンプライアンス、そして、より良いビジネス成果を促進するために業務プロセスが用意されていることには、ほとんどの人が同意します。しかしながら、回答者のほぼ半数(48%)が、業務プロセスが仕事をより困難にした、つまり不十分であると非難し、それを理由に4人に1人が仕事を辞めたいと考えています。 別の36%は、プロセスが時間を無駄にし、プロセスを使えなくしたと述べています。
では、プロセスは従業員の仕事にどのように悪影響を及ぼしますか? そして、これに対処するために何ができるでしょうか?
答えは、多くの組織が、人々がシステム、アプリケーションと対話しながら異常値のイベントを処理するような方法ではなく、どうプロセスが流れるべきかの考えに基づいてプロセスを開発することにあります。 業務内の複数のプロセスを分析し、業務オペレーションと業務プロセスのデジタルプロセスモデル(「デジタルツイン」)を提供できるプロセスインテリジェンスを活用して、ABBYYはこの問題を解決します。
高度なアルゴリズムを使用して、プロセスインテリジェンスは、プロセスと一緒に特定のイベントを記録しているタイムスタンプを抽出して読み取ります。 次に、これらのタイムスタンプを視覚的にモデル化して、理想的なプロセスフローからの逸脱しているものを即座に特定し、ビジネスコストがかかる可能性のある問題の根本原因を特定できるようにします。 このプロセスインテリジェンスは、アドホックであろうと複雑であろうと、すべてのプロセスを改善するのに役立ちます。 このように操作を可視化することで、プロセスがどのように実行されるかを正確に理解できます。
調査からわかったもう1つの興味深いことは、新型コロナウィルス感染拡大時のテクノロジーの導入でした。 回答者の企業の64%は、WFH(Work From Home, 在宅勤務)のストレスを軽減するために、ロックダウン中に初めて新しいテクノロジーとプロセスを迅速に採用しました。自動で紙をデジタル化してプロセスを支援するツールとこのツールを使った新規顧客申込処理は、回答者に成功したと見なされました(76%)。 これには、従業員のタスクとパフォーマンスを監視するためのツールも含まれていました。
従業員がタスクを実行する方法を監視することは、タスクマイニングと呼ばれる、プロセスインテリジェンスの初期のカテゴリのものにあたります。 タスクマイニングを使用すると、ユーザの操作を収集して分析することにより、どのようにタスクをやりくりしているのかを理解できます。 このような深い理解は、プロセスを自動化、そして改善するのに役立ちます。 タスクマイニングはプロセスマイニングと類似していますが、システムのログファイルやビジネス指標ではなく、ユーザとアプリとの相互やり取りのデータを使用してプロセスを分析します。 ABBYY Task Mining(英語版) は、デスクトップ上のユーザインタラクションデータ(ユーザとアプリとの相互やり取りデータ)を分析し、システムイベントデータからマイニング(取り出)されたプロセスの詳細とシームレスにリンクします。これにより、プロセスを遅くしている反復的で非効率的なタスクとタスクシーケンスを特定し、適切な場所にリソースを割り当て、解決することが可能となります。
タスクマイニングへのアプローチは、従業員のパフォーマンスの一部としての行動(アクション)を監視することと混同されることが多いですが、最適なタスク実行パターンを明らかにして、従業員が反復性の高いタスクから離れ、より価値の高いタスクに集中できるようにすることを可能にします。また、タスクマイニングツールは、従業員がどのように作業しているか、どのように改善できるかを確認し、どの領域の自動化が従業員を支援できるかを特定するための個人の生産性を上げることを目的としたツールとして効果的に使用できます。たとえば、従業員がプログラムのメリットを実感できない場合、現在の計画で何時間失うか、またはそれが仕事の生産性にどのように悪影響を及ぼしているかを雇用主に示すことができます。
例えば、AI、インテリジェントドキュメント処理、チャットボット、デジタルアシスタント、データ分析と洞察、チーム管理、タスク監視ソフトウェア等、スマートテクノロジーを使用することは、回答者にとって非常に有益であることが示されました。これらのスマートテクノロジーを使用した労働者の80%のうち、5人に4人が、日常業務で何らかの形で助けられたと報告しています。仕事を支援する最も一般的な方法は仕事効率のレベルを上げることでした(37%)。これに続くものは以下でした。
- チーム協力体制の改善 – 36%
- 管理を容易にすること – 27%
- 仕事をより早く実行すること – 25%
- 仕事をより正確に実行すること – 24%
- カスタマサービスの改善 – 19%
さらには、オフィスワーカーの46%は既に現在デジタルワーカーを日常業務に組み込んでおり、デジタルワーカー(デジタルな同僚)と1日最大2時間過ごしていると報告しています。 デジタルな同僚と協力している人のうち、34%が、データとドキュメントの並べ替えと仕分けに最も役立ったと述べています。 デジタルな同僚が欲しいと思った人は、紙をデジタル化し、仕分けし、活用するのに使用し、年間54日節約したいと述べています。
ABBYYコンテンツインテリジェンスでデジタルワーカーを活用することで、文書、フォーム、画像、電子メール通信などのコンテンツを迅速かつ正確に処理するという組織の中で高まっている課題に対処できます。文書内の特定の情報を検索し、データ入力を実行し、レビューと承認のために文書をルーティングするには、膨大な量の手作業が必要になる場合があります。 コンテンツインテリジェンスは、デジタルワーカーに、エンタープライズコンテンツから意味を理解して作成し、非構造化コンテンツを構造化された実用的な情報に変換するコグニティブスキルを提供し、デジタルワーカーをよりスマートに、そしてプロセスをより効率的に実行します。
リーダー達は、従業員達が業務プロセスに対して抱えている日々の欲求不満と、従業員達のエンゲージメントと生産性を高めるためのテクノロジーを理解する必要があります。 ABBYYのゴールは、どうプロセスが動いているかとプロセスを促しているコンテンツの2つに関するリアルタイムデータを使用して、業務作業に光を当てる包括的なデジタルインテリジェンスを提供することです。