BPO/Service Providers | Document Processing
パーソルグループ名刺管理システムにABBYYのモバイル対応AI OCRソリューションを採用
名刺を4枚まとめて取り込める上、読み取り精度が向上
パーソルグループは、「はたらいて、笑おう。」をグループビジョンにかかげ、多様な価値観を持った個人に向き合い、すべての「はたらく」が笑顔になる社会を目指している。同社は、このビジョンを実現するため、グループ総力でお客様の本質的な課題に対して向き合い、価値発揮していくために、お客様情報を一元管理している。お客様情報の一つである名刺を管理するシステムにABBYYのモバイル対応AI OCRソリューションを採用。名刺を取り込む際の工数削減や読み取り精度の向上を実現した。
■グループ企業間の情報共有推進の鍵を握る名刺管理システム
多様な価値観を持った個人に向き合い、すべての「はたらく」が笑顔になる社会を目指しているパーソルグループ。同グループが進めている取り組みの1つが、グループ会社間の連携だ。総合人材サービスを展開するパーソルグループには、「パーソルホールディングス」をはじめ、人材派遣・ビジネス プロセス アウトソーシングを手掛ける「パーソルテンプスタッフ」や、人材紹介サービスや求人メディアを展開している「パーソルキャリア」、業務コンサルティングやシステム開発、アウトソーシングサービスを行う「パーソルプロセス&テクノロジー」など、40社超の企業が名を連ねる。
「これまでは、グループ各社ごとに営業活動をしていました。しかし、個々のサービスの枠組みを超えた新しい時代の“はたらく”を創出するには、国内外のパーソルグループ各社が連携し、多様な働き方を受け入れるためのサービスをワンストップで提供する体制が必要。それによってお客様との接点も増え、細かいニーズにも応えられるようになります」と語るのは、パーソルホールディングス株式会社 グループデジタル変革推進本部 データバリュー・デザイン部 セールス&マーケティング室 室長の原田綾子氏。
横連携する際に重要になるのが、顧客情報の一元管理だ。これまでは各社で顧客データを保存・活用してきたが、それらのデータをグループ企業間で共有し、営業活動に活用していかなければならない。
「具体的には、スクラッチ開発した名刺管理システムを使って、名刺を読み込み顧客情報として登録しています。市場には、名刺管理パッケージもいくつかありますが、グループ企業間で情報を共有することを前提として開発されていないため、当グループで運用することはできません。カスタマイズするにも膨大なコストがかかるため、スクラッチ開発することにしました」とパーソルプロセス&テクノロジー株式会社 システムソリューション事業部 グループソリューション統括部 コーポレートソリューション部 マーケティング基盤サービスグループ マネジャーの太田誠氏は説明する。
現在、名刺管理システムで読み取られた顧客情報は、デジタルマーケティングなどにも活用され、営業活動の強力な武器になっているという。
■高精度に読み取った顧客情報を、お客様への貢献に活用
しかし、このシステムには課題があった。
「2015年に構築した名刺管理システムは、名刺の読み取り精度が80%ほど。20%のデータは読み取れず、機会損失に繋がっていました。読み取り精度が上がれば、マーケティングにもより多くの情報を活用できることになるはず。そこで、名刺読み取り精度を向上させるための検討を進めてきました」(太田氏)
そこで、AI OCRの精度や実績、コストなどを比較。スマホ対応させるためのソフトウェア開発キットも検討し、選定されたのは「ABBYY FlexiCapture」(FlexiCapture)と「ABBYY Mobile Web Capture」(Mobile Web Capture)の組合せだった。
「FlexiCapture」とは、OCRや機械学習、自然言語処理といったテクノロジーを活用し、文書業務の効率を高め、意思決定のスピードを高めるソリューション。紙やファクス、電子メール、複合機など、さまざまな文書やフォームから必要なデータを抽出・検証・取り込むことができるインテリジェント・プラットフォームである。RPAやERP、CRM、BPM、会計システムなど企業の情報システムとスムーズに接続でき、業務プロセスを即応的なものとすることができるAI OCRソリューションとしても広く知られている。
「Mobile Web Capture」は、スマホに搭載されているカメラを文章や対象物にかざすだけで、画像の境界線を自動認識し、ドキュメントを切り取ったり、自動的にテキストを認識したりできるようにするWebベースのソフトウェア開発キット。これを使えば、モバイルアプリを開発することなく、ブラウザのみでスマホのカメラ機能を使った名刺の読み取りなども可能となる。
上記二つのソリューションを組み合わせることにより、モバイルをスキャナーの代わりに用い、どんな場所からでも高精度なAI OCR読み取りシステムが構築でき、多様な要件に対応できる幅広い製品群を持つABBYYのみでしか実現できないと言える。
「名刺管理システムを開発しているグループ企業がABBYYとアライアンスを締結しており、ABBYYを使った実績もありました。すでに構築・運用実績があるという点は、選定の大きなポイントになりました。精度やコストも全く問題なく、またモバイル対応も可能なABBYYのソリューションを使うことにしました」と太田氏。
FlexiCaptureとMobile Web Captureを組み込み、1.5カ月という短期間で新しい名刺管理システムが構築された。
「ABBYYのソリューションを使うことで、読み取り精度は90%以上にアップ。Mobile Web Captureを使ったことで、4枚同時に撮影してもデータを取り込めるようにもなりました。さらに名刺の裏も記録できるようなり、営業部員からは非常に好評です」(原田氏)
読み取り精度が10%向上し、名刺管理の効率が飛躍的に向上した。また、コロナ禍で推進されたオンライン名刺交換にもいち早く対応している。名刺管理システムをスクラッチ開発しているため、ニーズに柔軟に応えることができるのだ。
また、開発メンバーからもABBYYのソリューションは好評だという。
「“ABBYYのソリューションは動作が軽く精度が高いので助かる”という声や、“名刺管理システムを通じてグループ間のビジネスに貢献できた”といった声が多く集まっています」(原田氏)
タスクがありますか? 解決策を見つけましょう
■さらなる識字率の向上と海外展開も視野に
「今回は、ABBYYのソリューションを使うことで識字率が10%ほど向上しました。これからは識字率の精度を更に向上させるための工夫を継続していきたいですね。識字率が上がれば即時データ化できるようになり、営業部員がすぐに情報を共有できるようになります。こういった世界が実現すれば、営業部員のやれることの幅が広がるはずです」(太田氏)
FlexiCaptureはさまざまな工夫を加えることにより、導入後も識字率の精度向上や、利用シーンに合わせたワークフローなどいろいろカスタマイズできる。
さらに、情報管理などの整備は、海外のグループ会社での運用も視野に入りつつあるという。
「個人情報保護など考えなければいけないことはありますが、海外でも情報の共有やグループ間の連携などは重要なテーマになります。ABBYYのソリューションは多言語対応されているので、ほとんど手を加えなくても海外で使うことができるでしょう。そういった点でも大きく期待しています」(原田氏)。
データの利活用は、多くの企業にとって共通の課題だ。AI OCRの技術を自社の業務システムに組み込むことで業務効率や生産性を向上させたパーソルグループの事例は、大いに参考になるはずだ。